マッキンゼーのサイトで「The basics of business-to-business sales success」というコラムが出ています。基本的なことをちゃんとやるべしという内容ですが、興味深いファクトファインディングに基づいた指摘で面白かったです。ポイントだけ抜き出して翻訳しました。(意訳アリです)
まず、営業マンがお客様との関係作りを行う際に押さえておくべき「基本」について。
Customers want to be contacted just enough, not bombarded. Sales reps should know their products or services intimately and how their offering compares with those of their competitors. Customers need information on exactly how a product or service will make a difference to their businesses.
(1)お客様は必要最低限のやり取りで済ませたいと思っており、必要以上の面会や連絡は逆効果になる。(2)営業マンは取り扱う製品やサービスだけでなく、競合他社との訴求点の違いまで熟知している必要がある。(3)お客様は製品やサービス(の仕様よりも)が自社のビジネスにどういう効果をもたらすかを知りたがっている。
これらをきっちりと行い「営業活動を通して総合的に提供した満足度を向上させること」が大切だとあります。この部分は基本の再確認なので言われてみると当たり前ですが、僕としては、営業マンがお客様にコンタクトする頻度が多すぎても逆効果になるという(1)の指摘は目新しいものでした。
そして、さらに面白かったのは次の箇所です。
購買決定を左右する「被営業体験」
Customers insisted price was the dominant factor that influenced their opinion of a supplier’s performance and, as a result, their purchasing decisions. Yet when we examined what actually determined how customers rated a vendor’s overall performance, the most important factors were product or service features and the overall sales experience.
お客様は「価格」がサプライヤーを評価する際の最も大きな要素で、結果的に購買の意思決定にも大きく影響する、と言い続けてきた。しかし、実際に彼らがサプライヤーをどう評価しているかをマッキンゼーが調査したところ、最も重要な要素は(価格ではなく)製品・サービス自体の特徴と、そして営業活動を通した印象であることを発見できた。
この指摘には経験的にもうなづける部分が多いです。確かに価格は重要視しますが割と二次的な要素で、たとえ安くても営業に来た人が失礼だったり対応に不満があると、上司への報告はその会社に不利になる点を強調してしまいます。これって僕だけではないはず。つまり製品・サービス自体と価格と営業対応などを総合的に判断している訳です。
マッキンゼーはこの調査を1,252社を対象に行ったそうですが、回答の裏に隠れた本音まで突き詰めてファクトファインディングしているのは、さすがですね。
さらに同調査は、(1)製品についての適切な知識を身につけ、(2)適切な頻度でお客様にコンタクトを取るという2点に配慮することで、営業活動を通したお客様の評価を効率的に改善することができると予測しています。(下表参照)
営業活動における評価されない要素
出展:The basics of business-to-business sales success(PDF)
これらを総合すると営業マンには、「平時から適切な頻度でお客様との関係を維持しつつ、お客様からお声がけがかかった際には、自社製品・サービスについての深い理解に基づいて、それがお客様のビジネスに提供できるバリューを他社と比較しながら説明すること」が求められているのですね。
Webへの応用
この視点はWebサイトの役割を考える時にも使えると思います。一例として、次のような読み替えが出来るのではないでしょうか?
- 頻度:お客様が必要とした情報が確実・スムーズに見つかること(SEOなど)とともに、適度なCRMの実施
- お客様に提供できるバリューを提示:導入事例の充実
- 他社との比較:比較機能、説明文の中でも自社の強みをアピールするなど
B2BのWebサイトはまだまだカタログの焼き直しにとどまっているものが多いと感じています。Webをマーケティングの道具として本気で使うには、営業マンに課している役割をWebにも担わせる事だと思います。もちろんそれぞれ違った実装になると思いますが、大切なのはWebと営業を切り離さずに考える事だと考えます。
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