2024年の2月に、Neokyoという(海外のお客様向けの)購入代行サービスのマーケターとして今の会社に転職しました。
それまでの自分のキャリアは、およそ20年にわたってWebサイトの制作・構築に関わるもので、 Webサイトを「作る」ことについては、それなりに経験を積んできたつもりです。
ただ、今回の役割はそれとは少し違い、どうやって顧客を集め、どうやって売上につなげるのか。つまり「Webをマーケティングに使う」という仕事です。
まだまだ何かが「完成した」という感覚はありませんが、自分自身の整理も兼ねてこの2年間でやってきたことを振り返ってみます。
“ここからか…”というスタート地点
入社当初の状態を一言で表すと、そんな状況でした。
クーポンを発行した販促キャンペーンや広告配信といった取り組みは行われていましたが、それらが体系的に整理されているわけではなく、担当者ごとに個別に動いているだけ、という印象がありました。
データも同じで、データベースを見れば数字は溜まっているのですが、意思決定に使える形にまとまっておらず、有効に使われていませんでした。
出来ることはやっているがやりっぱなしで「改善につながっていない」という状態だったと思います。
前任者が聞いたら怒られるかもしれないけど、リード役の人は辞めてしまって、デザイナーとSEO担当者が、出来ることをやっていたので、仕方ない状況だともいえます。
そういう状況を改善させるために雇われたのが私だったわけで、面接段階からおおよその話は聞いていたものの、入ってみて状況をつぶさに見ると「なるほど、ここからか・・・」という感じでしたが、別に絶望したわけではなく、「よしやるぞ!」と鉢巻を締めなおした感じです。
まずは今ある施策を“整備”する
幸いにも仕組みやツールは一通りそろっていたので、まず取り組んだのは、新しい施策を増やすことではなく、すでにあるものを「整える」ことにしました。
まず最初に取り掛かったのは、クーポンキャンペーンです。
それまで月に数回しか実施されていなかったものを、ほぼ毎日何らかのキャンペーンが走っている状態に変えました。
ただ回数を増やすだけでは意味がないので、割引率や対象ストアのバリエーションを増やし、どの条件でどれくらい売上が変わるのかを検証しました。結果はすべてスプレッドシートに記録し、比較できるようにしています。
- 同じショップで割引率を変えた場合
- 同じ割引率で対象を変えた場合
- 割引率を上げる vs クーポン枚数を増やす
こういった変数ごとの影響を見ていきました。
とはいえ、同じ条件でも数値にはブレがあるので、n=1では判断できません。一度に実施できるキャンペーン数にも限りがあるため、検証にはどうしても時間がかかります。それでも半年ほど経つとデータが蓄積され、徐々に傾向が見えてくるようになりました。
マーケティングとセールス、CRMがほとんどオンラインで実施されるサービスでは、集客~売上までの一気通貫したデータが手に入るので、データをこねくり回して成果の判定や課題の抽出ができるのが面白いところ。自分自身、いろんなデータを掛け合わせて分析するのが性に合っていたので、結構面倒な作業でも楽しく取り組むことができました。
こういう大量のデータと格闘できるのは事業会社で働く醍醐味だと思います。
広告も手を動かして“再設定”
「整える」というアプローチは広告でも同じでした。
Google広告はすでに動いていましたが、キャンペーン構造に網羅性がなく、命名規則もバラバラで管理しづらい状態でした。そこで、管理画面に登録されているすべての設定を書き出し、再設計した形で設定しなおしました。
一度、広告内容と言語(国・地域)の組み合わせで網羅的にキャンペーンを作ってみたものの、言語によっては単価が高くなりすぎたり、そもそも検索数が伸びなかったりするものもありました。
そうしたものを削ったり統合したりしていくと、結果的にまたデコボコした構成にはなったのですが、少なくともキャンペーン名によって意図が分かる状態にはなり管理しやすくなったと思います。
なにより、「なぜこの構成なのか」を自分の中で説明できるようになったので、その後、広告代理店に引き継ぐ際に、状況を説明できたのはこの再整理のステップがあったからでした。
(説明を受けた代理店の方は「ぐちゃぐちゃだな」と思ったかもしれませんが、そうでないと信じたい。笑)
少し話が脇にそれますが、自分が最初に就職したWeb制作会社でもGoogle広告の運用を少しだけやっていました。
それから20年ぶりにGoogle広告の管理画面に触れた感想は「めっちゃ進化してるな」でした。
基本的な考え方は変わっていないので理解はしやすかったのですが、自動化されている部分が多くて、便利になったなと思う反面、ちょっと味気なくなったな、とも感じました。あとブラックボックスが多くて自分で広告を管理してる感覚が持ちにくくなった様にも感じました。
コストを見える化。そしてやりすぎを反省
年度の後半から取り組んだのが、コストの見直しです。
個々のキャンペーンや広告のコストは蓄積していましたが、マーケティング全体として、どれくらいのコストをかけてどれくらい成果が出ているのかを把握できていませんでした。
そこで、月次で全体を追えるように整理しました。
その結果、前半でキャンペーンを増発したことでGMVは伸びていたものの、コストはそれ以上に増えており、利益を圧迫していたことが分かりました。赤字ではないものの、明らかにコストを使いすぎている状態です。無駄なコストを無自覚に使ってしまっていたのは、失敗でした。
そこから、割引率の低いキャンペーンも織り交ぜながら、コストと成果のバランスが取れるラインを検証しました。ここでも、それまで貯めていたデータが役に立ったのですが、対象ストアごとに割引率を変えて、どのショップはどこまでコストをかけられるか検証していきました。
その結果、かなりコストを削っても、売上を増やせるのだと分かってきました。その後、広告についても同様の検証を行い、一度単価を最適化してから予算を拡張することで、無駄なく数字を伸ばす形に調整していきました。
こういった年後半の取り組みは、マーケティングを俯瞰する執行役員が加わり、体制が変わったことで実現できるようになっていました。それまではなるべく一人で進めていましたが、経営的な視点が入ったことで、より精度の高い意思決定ができるようになりました。
一人でやる限界。チームで強化
現在進行形の取り組みについては書きづらいので後半は端折ることにしますが、超ざっくり言うと、新メンバーのジョインや外部パートナーにも参画してもらって、徐々に体制強化できており、それによって打てる施策が広がってきています。この辺りも、執行役員がドライブしてくれ、私が実務面で連携して活動を広げていきました。
やはり餅は餅屋で、デジタル広告やコンテンツマーケティングは専門性が高く、広く浅い知識では限界があるので、外部の力を借りることで、スピードと精度の両方が上がった実感があります。
施策が広がると取れるデータ、見るべき指標がさらに増えています。それを正しく分析して現状を理解したり、課題を抽出するのはより一層難しくなりました。これは施策全体を俯瞰している社内のマーケターが手放せない仕事だと思うので、自分の重要テーマとして取り組みたいと思っています。
マーケティングを“構造”でとらえる
という感じで、ここまでやってきたことは多岐にわたります。それを一段抽象的にまとめるなら、マーケティングが機能する構造を少しずつ整えてきたという表現がしっくりきます。
どれだけたくさんの施策を展開しても、個々の施策は大きな構造の上で動くパーツでしかありません。
重要なのは、それらが有機的につながっていること。そして、それを統べるマーケターとしては、「どこが成長をドライブする押しボタンなのか?」「成長を邪魔しているミッシングピースなのか?」そういうことが分かることだと思います。
前職でやっていたWebサイト構築のプロジェクトでは、PMとして毎週の定例MTGに向けた進捗管理をしつつも半年~1年ぐらい先を見据える視点も持っていました。長く経験のある領域だったので鳥の目・虫の目をうまく使い分けられていたのだと思います。
今のマーケティングでは2~3ヶ月ぐらい先は意識できても、まだ半年や1年先までに意識を向けるのが難しい。日々の施策を回しつつも、自然と長期視点も持てるようになるのが当面のマイルストーンだと考えています。
そのあたりを次のテーマとして、引き続き取り組んでいきたいと思っています。
Web制作PMから越境ECマーケターにジョブチェンして2年、まだまだ成長過程ですが、楽しくやってます。