スキル習得の先に何があるか? マーケターに必要な「Being(在り方)」を考えてみた

最近、「Doing(行為・スキル)」と「Being(存在・在り方)」という概念について考える機会がありました。きっかけは、Substack記事「Doing or Being? ある悪口からのインスピレーション」を読んだことです。

この記事では、オシャレや習慣化、リーダーシップなどを例に挙げながら、「意識して無理をしている状態(Doing)」と「内面化されて自然体で身についている状態(Being)」の違いについて触れられています。

読んだあと、ふと「これを自分の領域であるマーケターに置き換えるとどうなるだろう?」と考えてみました。

マーケターとして日々の実務スキル(Doing)を磨き続けること自体は非常に重要です。しかし、ただ手法やスキルだけを追い求めていても、どこかで成長や提供価値が頭打ちになってしまうのではないか。そんな示唆を得たことから、マーケターにおける「Being(在り方)」について思考を深めてみることにしました。

スキルの習得(Doing)は前提ですが、それだけでは見えなくなるものがある

マーケティングの現場では、日々新しいスキルや手法のアップデートが求められます。

  • Google Analytics(GA)を駆使してデータ抽出・分析ができる
  • マーケティング施策の問題点を抽出し、改善を実施できる
  • AIエージェントを活用して業務を自動化・効率化できる

これらはすべて「Doing」にあたります。

変化の激しい現代において、こうした知識やスキルをアップデートし続けることだけでも非常に大変なことです。また、出来ることが増えると素直に成長を実感しやすいため、スキル(Doing)の獲得に集中すること自体はとても自然なプロセスだと感じています。

ただ、「Doing」の更新だけで閉じてしまうと、どこかで成長の踊り場が来るのではないかとも感じています。だからこそ、手元の技術(Doing)だけでなく、その前提となる視座や姿勢(Being)に目を向ける必要があるのではないでしょうか。

私が考える、マーケターの「Being」

では、マーケターにおける「Being」とは何でしょうか。 それは、「マーケターとはそもそも何のための仕事なのか?」という本来の意義に向き合い、それを自然と意識できることだと考えています。

具体的には、大きく次の3つの意識や姿勢があるのではないでしょうか。

1. 売上や利益などの数値KGIへの意識

「データ分析をする(Doing)」のも、最終的にKGI目標を達成できるのかを意識するがゆえに、KPIやその周辺のデータが気になるという状態です。データを見るのが目的ではなく、Whyに意識があるので

  • 数字に変化があれば、「なぜ変化したのか?」を自然と明らかにしたくなります。
  • 良い変化は再現し、悪い変化は再発を防ぐために、因果関係を「構造」として捉えたくなります。

2. 提供価値の常時確認

売上や利益は顧客に価値を提供した結果として戻ってくるものです。そのため、扱っているプロダクトが提供できる価値を最大化できているのか?届けられていない価値があるのではないか?という意識を持っている状態。

  • 「変化する市場の中で、自社の商品・サービスは今も価値を出せているか?」

3. 提供価値の拡大余地の探求

既存の枠組みにとらわれず、価値を広げる視点が日常化している状態です。

  • 事業連携、大胆なシステム連携などによって既存のプロダクトで新しい価値提供を可能にするとか、既存顧客向けの新しいプロダクトを開発するなど。そうすることで非線形的な売り上げ増を実現しようとする視点。

DoingとBeingの関係性:どちらが上ということではない

ここで誤解したくないのは、「BeingはDoingの完全な先にあるもの」でもなければ、「BeingのほうがDoingより偉い(上下関係にある)」わけでもないということです。BeingとDoingは、相互に補い合う関係にあると考えています。

  • Being(長期・俯瞰視点): そもそも何のためにやるのか、どんな価値を届けるべきかという「方向性や問い」を保持する。
  • Doing(現場・実行視点): Beingで定めた向きに対して、実際の業務現場で確実に成果と価値を出すための「手腕やスキル」。

いくら高尚なBeing(在り方)を持っていたとしても、それを形にするDoing(スキル)がなければ現場で価値を生み出すことはできません。逆に、どれだけ高いDoingを持っていても、Beingという軸がなければ仕事として会社の業績につなげることができないのです。ただ一般論として、より高い視点・視座を持つことのほうが難しく、市場価値も高いので、beingのレベルが上がることがビジネスパーソンとしての成長と言い換えてもよいと思います。

Beingを構成する3階層の「俯瞰視点」

マーケターに求められるBeingとは、現場の作業から一歩引いて全体を捉える「俯瞰視点」と言い換えることができるかもしれません。それは階層的に次の3つぐらいに分けられるんじゃないかと考えました。

  1. マーケティングコミュニケーションを俯瞰する視点
    単発の施策やチャネル運用に閉じず、顧客との接点全体やブランドメッセージの整合性を構造的に捉える視点。
  2. プロダクトを中から俯瞰する視点(プロダクトマネージャーの視点)
    自社プロダクト(商品やサービス)の提供価値を把握し、それを最大化するために、足りていない点や改善すべき点を内側から見つめ直す視点。
  3. プロダクトを外から俯瞰する視点(経営者、経営企画、事業開発の視点)
    既存のプロダクトにどんな価値拡張の余地があるかを経営・事業目線で探索する視点。

こうした視点の階層(Being)をより高く、より広く持てるようになっていくことこそが、本当の意味での「マーケターとしての成長」なのではないかと考えています。

手元のスキルやツール(Doing)を使いこなすことは大前提として、それらを「どの視座から扱えているか」によって、生み出せるインパクトの大きさが大きく変わってくるからです。

正直なところ、今の自分はまだ「1. マーケティングコミュニケーションを俯瞰する視点」を模索しているレベルだと感じています。まずはここを確実に固めつつ、一刻も早く「2. プロダクトを中から俯瞰する視点(プロダクトマネージャーの視点)」を持って仕事ができるよう、日々の業務の中で意識的に視座を引き上げながら向き合っていきたいと思っています。

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